瀬戸内国際芸術祭2019開幕!会場と魅力・見どころまとめ

[ 最終更新日 11.01.2021 ]

3年に1度、瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代アートの大規模な祭典、瀬戸内国際芸術祭。いよいよ夏会期の時期となりました。私もつい先日、2泊3日で一人旅に行き、直島と豊島、小豆島、高松港周辺のアート作品を堪能してきたところです。そこで今回は会場となる瀬戸内の島々と港、それぞれの魅力・見どころをご紹介します。

瀬戸内国際芸術祭とは

瀬戸内国際芸術祭とは、瀬戸内海の島々を舞台にした、3年に1度開催される現代アートの祭典です。国内問わず世界各国から100万人以上の来場者で賑わいます。2010年に初めて開催され、今年は第4回目を向かえます。

今でこそアートを軸に華やかな盛り上がりを見せる瀬戸内海地域ですが、かつては産業廃棄物問題や、ハンセン病患者の隔離問題といった近代化の課題を抱えており、実は悲しい歴史も持つ地域です。岡山に本社のあるベネッセコーポレーションの創業者らは「瀬戸内の島に世界中の子どもたちが集える場を作りたい」という思いを抱き、その試みとして瀬戸内海の島々でのアート活動に注力するようになっていきました。

芸術祭が開催当初から掲げるテーマは「海の復権」。芸術祭を通じて美しい自然と人の共存する瀬戸内の島々に活気を取り戻すことで、島の将来の明るい展望につながりますようにとの願いが込められています。

夏会期の開催期間は2019年7月19日(金)〜8月25日(日)まで、秋会期については2019年9月28日(土)〜11月4日(月)です。

要注意!休島日・フェリー・宿泊施設など

注意しておきたいのが、島にはお休みの日があり、その日はほとんどの美術館やアートの施設が閉まっていることです。以下の表を参考に、事前にチェックしておきましょう。

<休島日一覧>

直島 原則月曜日
(ベネッセハウスミュージアムは無休)
豊島 原則火曜日
犬島 原則火曜日

ただしあくまで原則です。その曜日が祝日の場合は営業となり、翌日の平日のほうがお休みとなります。行きたかった美術館に行けないとなるとガッカリしてしまうので、事前にカレンダーをチェックしておきましょう。特に直島はかなり混雑しますので、ベネッセハウスミュージアムと屋外展示だけでよいのであれば、あえて月曜日に行くのも手です。

また、事前予約が必要な美術館もあります。直島の地中美術館は完全予約制のため、事前にオンラインチケットを取る必要があります。豊島の豊島美術館には当日券もありますが混雑時は整理券制となるため、オンラインによる事前予約が望ましいでしょう。しかも結構早くに完売してしまいます。絶対に入館したい場合は早く押さえないといけません。

フェリーの本数も限られるため、事前に調べておきましょう。特に芸術祭会期中は臨時便が出るなどでダイヤが通常と変わりますので注意が必要です。

悩ましいのが宿泊地。直島のベネッセの宿泊施設が有名ですが、びっくりするほど高額なので、若い方にはキツいかもしれません。それ以外ですと民泊が多いようです。私は小豆島のホテルに1泊、こんぴら参りを兼ねて琴平のホテルに1泊しました。

会場となる島々と港の概要

瀬戸内国際芸術祭の開催場所は直島、小豆島、豊島といった瀬戸内海の島々と、香川の高松港周辺・岡山の宇野港周辺です。夏会期の会場にはそれぞれどんな特徴があって、どんな展示があるのかを簡単にご紹介します。

直島

直島はここは瀬戸内国際芸術祭の中心となる、現代アートの聖地として注目を集める島です。面積約8km2、人口約3,100人。特産品としては瀬戸内海の太陽をたっぷり浴びた天日塩が有名です。

建築は安藤忠雄をはじめ、石井和紘、SANAA、三分一博志といった建築家の作品が島の各所に点在しています。主なアート作品・施設には草間彌生の「赤かぼちゃ」や、ベネッセハウスミュージアム、地中美術館、李禹煥(リ・ウーファン)美術館、ANDO MUSEUM、家プロジェクト、直島銭湯「I❤︎湯」などがあります。詳しくはこちらの「直島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」にまとめているので、ご参照ください。

豊島(てしま)

豊島は面積約14.5km2、人口約800人。イチゴやオリーブ、みかん、レモン、海苔、棚田のお米などが有名です。

1970年代より、全国的にも最大規模といわれる産業廃棄物の不法投棄が始まり、大きな社会問題となりました。その後廃棄物の処理施設が稼働し、再建が進められています。

2010年の豊島美術館の建設と棚田の復元を皮切りに、アートの島のひとつとしても活気をみせるようになりました。このほか横尾忠則の豊島横尾館、大竹伸朗の「針工場」、スプツニ子!による「豊島八百万(やおよろず)ラボ」、島キッチン、ストーム・ハウス、心臓音のアーカイブ、豊島シーウォールハウスなどなど、見所満載です。詳しくは「豊島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)NPO法人豊島観光協会:豊島観光ナビ

犬島

犬島は岡山県唯一の有人島です。古くは江戸城、大阪城、岡山城の石垣の切り出し場になっていたそうで、かつては採石業が盛んでした。面積約0.5km2、人口はなんと約50人、平均年齢75歳と、深刻な過疎化・高齢化の地となっています。

犬島の産業遺産である精錬所の保存・再生を目指した犬島精錬所美術館が2008年に開館され、その後も集落再生の家プロジェクトが始動するなど、今では島の風景と一体となった複数のアート作品やギャラリーが点在しています。詳しくは「犬島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)ベネッセアートサイト直島:島々について

小豆島(しょうどしま)

小豆島は瀬戸内海では淡路島の次に大きな島で、面積約169.9km2、人口約28,000人です。日本で初めてオリーブ栽培に成功したことから「オリーブの島」ともいわれています。産業としてはオリーブのほか醤油、佃煮、手延べそうめん、ごま油、石材など有名です。ごま油といえばかどや製油が有名ですが、かどやのごま油はすべて小豆島の工場で作られています。

主な観光スポットは二十四の瞳映画村や福武ハウス、魔女の宅急便のキキになり切ってほうきに乗った写真を撮れるオリーブ公園など。屋外展示も豊富で、例えば土庄(とのしょう)港周辺では「太陽の贈り物」や「再び・・・」などが観られます。オリーブ畑にあるリーゼント頭のモニュメント(実は野菜を売る屋台)も有名です。詳しくは「小豆島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド(前編)」をご参照ください。

参考)小豆島観光協会:小豆島について

女木島(めぎじま)

女木島は面積約2.7km2、人口約200人、高松港からはフェリーで20分ほどのところに位置する島です。桃太郎伝説に出てくる鬼ヶ島の一部だとする説もあり、「鬼ヶ島」の愛称で親しまれています。

主なアート作品・施設には、桃太郎伝説になぞらえた広い鬼ヶ島大洞窟や、愛知県立芸術大学の活動拠点になっているMEGI HOUSE、古い倉庫を活用したISLAND THEATRE MEGI「女木島名画座」などがあります。「島の中の小さなお店」プロジェクトの展開する様々なテーマパークも気になるところ。詳しくは「女木島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)せとうち島手帳:女木島

男木島(おぎじま)

男木島は面積約1.3km2、人口約190人の島です。女木島と男木島はいずれも高松市に属す町ですが、もともとは合わせて雌雄島(しゆうじま)村という村でした。集落の中を坂道や石段が迷路のように広がっています。タコ漁が島の伝統です。

景色が美しくて有名な男木島のなかでも、一番の絶景スポットといわれるのが豊玉姫(とよたまひめ)神社です。そのほか男木島灯台や様々な屋外展示などがあります。詳しくは「男木島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)せとうち島手帳:男木島

大島

大島は面積約0.6km2、人口約80人の小さな島です。島の大半が国立保養所大島青公園が占め、住民は元ハンセン病患者の入所者とそこの職員のみとなっています。
大島を知るにはまずは歴史を知らないと行けません。1909年にハンセン病患者を隔離するための、ハンセン病療養所(現・国立保養所大島青公園)が大島に設立されました。ハンセン病はかつて誤った解釈で、長らく社会的偏見と差別の対象になっていたのです。現在ではハンセン病入所者の日常生活の支援や介助、ハンセン病を正しく理解するための啓発活動が行われています。

アート作品としては、やさしい美術プロジェクトによるハンセン病を考える展示などが観られます。こえび隊という公式ボランティアによる大島案内に参加することで、大島の歴史を伝えるアート作品に触れることができます。詳しくは「大島の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)SHIMA TRIP:大島(香川県高松市)

香川県・高松港周辺

各島への玄関口として最も利用される高松港周辺エリアでも、多くのアート作品を楽しむことができます。屋外作品では大巻伸嗣による港にそびえ立つ2ほんのカラフルな柱「Liminal Air -core-」という作品が目を引きます。旧倉庫街を改修してできた「北浜の小さな香川ギャラリー」には古民家風のおしゃれで味のある建物が並び、瀬戸内の資源をテーマに様々な展示作品が鑑賞できます。また高松駅から15分ほど歩いたところにある高松市美術館では、9月1日まで宮永愛子展「漕法」が開催中です。静かで美しい非日常的な時間と空間を味わえて、とてもおすすめです。詳しくは「高松港周辺の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)瀬戸内国際芸術祭2019:高松港周辺

岡山県・宇野港周辺

岡山県側の玄関口となる宇野港周辺エリアにも、アート作品がたくさん展示されています。宇野港周辺のゴミや不用品を集めて作った巨大なチヌ(クロダイ)の展示や、放置自転車に鉄くずを溶接してアートにしたレンタサイクルなどは、再生をテーマにしたユニークな作品です。そのほか屋外展示も複数ありますので、フェリーを利用される際にはぜひチェックしてみてください。詳しくは「宇野港周辺の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド」をご参照ください。

参考)瀬戸内国際芸術祭2019:宇野港周辺

「瀬戸内国際芸術祭2019」開催概要

以上、夏会期の会場のご紹介でした。魅力たっぷりな地域ですので、3年に1度しか開かれないアートの祭典にみなさんもぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

会期 夏会期 あつまる夏:2019年7月19日(金)〜8月25日(日)
秋会期 ひろがる秋:2019年9月28日(土)〜11月4日(月)
会場 直島/豊島/女木島/男木島/小豆島/大島/犬島
高松港周辺/宇野港周辺
沙弥島[春のみ]
本島[秋のみ]/高見島[秋のみ]/粟島[秋のみ]/伊吹島[秋のみ]
主催 瀬戸内国際芸術祭実行委員会
総合プロデューサー 福武總一郎(公益財団法人福武財団理事長)
総合ディレクター 北川フラム(アートディレクター)
アクセス 東京からの場合は高松まで飛行機で行き、高松港までシャトルバスで移動、高松港からフェリーで各島へ向かうのが一般的なルートです。
詳しくは公式サイトのこちらのページをご参照ください。
公式サイト 瀬戸内国際芸術祭2019
Posted by
sholo

下町生まれ下町育ちの会社員。ウェブの企画・編集の仕事をしています。ライブに行くこと、三味線を弾くこと、映画を観ることなどが好き。