この記事は主にパンフレットやチラシなどを制作する、
紙媒体のDTP関係に対してのデザイナー向けです。
転職と言う表現ですが、デザイナーからデザイナーなので
単なる「職場替え」ということと、
「グラフィックデザイナー・DTPデザイナー」ということを
念頭において読んでください。
表現が難しいですが、大手の広告などを手掛ける前衛的な仕事というよりかは
一般的な仕事をしている方向けです。
職場替えをしたくなる理由はさまざまだと思います。
人生一回きりです。変えたくなったら変えた方がいいですよ。
35歳以上のデザイナー転職/職場替えの実際
35歳以上での職場替えが難しいとされることが多いですが、これは主に他業種への転職の場合に当てはまります。デザイナーからデザイナーへの職場替え、特に紙媒体のDTPデザイン分野では、35歳以上でも十分に可能です。私自身もこれまでに35歳以上で2回の職場替えを経験しており、40歳以上でも2回の職場替えをしています。実績があれば問題ありません。
40歳以上でも実績とある程度のクオリティを作り上げられる方であればまったく問題ありません。逆に言えば、それができていない方は難しいということになります。
ただし、仕事の内容によります。
一般向け広告、それに付随する制作物や雑誌系などは実務経験がなければ恐らく難しいでしょう。
ごくごく一般のパンフレットなどであれば受け入れてくれる企業も多くあります。ただし、もう一度言いますが一定以上のスキルがあり一定のクオリティを作り上げられることが必須です。なんせ40歳以上なので、それなりのことが求められるのは当たり前のことです。
以前在籍していたいくつかの紙媒体の会社の中で求人をかけると
「40歳以上の応募が8割」で若年層からの応募がほとんどない、
という現実を目の当たりにしました。
主にパンフレットやチラシを制作する業務の会社です。
前衛的な制作会社は若年層はたくさんいると思いますが、
ごく一般的な印刷系の制作会社は
平均年齢が高めになってきていると思います。
ですので、会社側は30代前半くらいまでを想定して求人をかけるのです。
しかし、求める年齢層から応募がなかなかないため、
求人を諦めて時期をずらして再度求人をかける場合が多いです。
または常時求人を出している場合があります。
40歳以上の方は特に突出したスキルや実績がないと採用されにくい傾向があります。
紙媒体のデザイナーの求人は以前に比べるとかなり減ってしまいました。
アートディレクターまで拡げると少し多くなりますが、
制作に専念したくてアートディレクターをやりたいと思わない人もいるでしょう。
そういう方は、デザイナー職を探すしかないのですが、
求人も少ないうえに年齢が35を超えるとさらに減ります。
さらに実力が伴わないと本当に狭き門になっています。
では、どうすればいいのでしょうか。
過去は変えられないので今からできることを挙げてみます。
成功したければポートフォリオはしっかり作る
成功するためには、質の高いポートフォリオが不可欠です。ですが、私が数社で見た中で感じたことは、応募してくる40歳以上の方々はなぜかポートフォリオが雑な人が多い印象があります。
私なら絶対送れないし、採用する側であればまず選ばないというものが多数見られました。
そういう方々はデザインが雑です。それ以前にクオリティが低いです。
例としてはスキャンしたものをただ貼ってるだけだったり、
構成も何も考えずにレイアウトしている、
作品をただ並べただけなど、
いい加減さが目立つものは候補に入らず一瞬で終わります。
悪い意味では記憶に残ります。
また、載せている作品が10年前やそれ以上前のものあり、
確かに自身が携わった制作物であるかもしれませんが、
やはり5年以内のものにした方がいいでしょう。
その点若い人は、力不足だったりしても熱心さが伝わるものが多いように思います。
ポートフォリオは自分の分身のようなものです。
それがいい加減な作りにしてしまうと、そういう人間なんだと思われ対象から外れてしまいます。
私はその都度、ポートフォリオをゼロから作ります。
台割を大まかでもいいので作って作品をリストアップしデザインし、
キャプションなどを丁寧に入れて、一つの作品として完成度を高めて
最終的には製本して面接に持っていけば説得力も増します。
作品の数はネットの情報で「多すぎず少なすぎず」とありますが
そこは感覚でいいと思います。私は結構多めに入れます。
人によると思いますが、見る側はパラパラ見て大体の実力をみるのでじっくり見ません。
パラパラめくっても質やポートフォリオの作りで実力や人柄はわかります。
AiだけではなくInDesignも習得しましょう
私の出会った40代以上の方々の多くは、Aiでレイアウトする人が多く、
InDesignを全く触ったことがない人が多くいました。
会社側が施しても、頑なにInDesignで作業をしようとせず、
ページの多いものもAiで組むため時間が大幅にかかって
無駄に残業をしたりと効率の悪さが目立ちました。
今後もDTPをやるならInDesignは使えるようにしておきましょう。
以前に比べ条件に入れる企業が増えてきましたし、
実務でもAiよりInDesign作業のところが増えたように感じます。
パンフレット系なら尚更です。
というよりも、パンフレットけを制作している人であれば、
できて当たり前だと思われているように感じます。
継続的な技術習得と情報のアップデート
私は新卒時に先輩方の知識のなさや技術力のなさに呆れたことがあります。
専門的に仕事をしているのに不思議でなりませんでした。
デザイナーでは知っているような話すらわからない人は一緒に仕事をしていて楽しくないし色々と捗りません。
中にはきっぱり「そういうの興味ないんで」という人がいました。まぁすぐに辞めていきましたが。
今そういう年頃になって、改めて自分はどうなのかと考えるときがあります。
別に他人にどう思われるかではなく、自分が好きでやっている仕事ですから、
世の中の流れや技術や知識は欲しくなって当然だと思うのです。
知識があれば、通じ合う人たちと相乗効果が生まれよい仕事環境になるでしょう。
ただ、そういうことは当然かと私は思っています。
最近はAdobeも1年に一回でバージョンが上がり、その都度新機能も追加されます。
そういうことにも疎いようでは話になりません。
35歳以上で他業種からの未経験での転職
未経験の方は残念ですが、非常に厳しいと思います。
未経験の場合、恐らく20代でないと企業は見向きもしないと思います。
なぜなら、即戦力しかとらないからです。
ちなみに40歳以上で他業種から紙媒体のデザインをやりたくて独学でやりました。
という応募は数件見たことがあります。
努力はわかりますが、実務に対応できるデザインレベルの人はいませんでした。
勘違いしている人がいるのですが、
ソフトが使えてもデザインができないとダメなんです。
オペレーターになるならそれでもいいですが、
いや実際のオペレーターのプロとしてやってる人に話を聞いた際、
ただソフトが使えるから応募しましたというのは拒否すると言っていました。
オペレーターもただ作業するだけではダメなのです。
デザインは実務でこなした数でどんどん上手くなります。
しかし独学で自分の判断だけだと成長は遅いでしょうし、
やはり人の言葉というものが重要になってきます。
そして厳しい言い方になってしまいますが、書類はまず通らないと思います。
なぜなら、ただでさえ紙媒体のみの制作会社は平均年齢も高く若年層を欲しがっています。
その状況で未経験の35歳以上になると間違いなく対象にすらなりません。
ただ、人によってはうまくいく人も稀の稀の稀にいると思います。
度胸があり、本気の努力をして、そしてポジティブであり、
コミュニケーション能力がずば抜けている人、でしょうか。
こんな人はどの分野でも成功しそうです。
人生一回きり、後悔しないように。
35歳を過ぎたからといっても特に問題はありません。
採ってくれるところは採ってくれます。
自分が今後何をしたいのかをよく考えて行動すれば、
恐らくうまくいくでしょう。
そして未経験の方ですが現実的に厳しいとは思いますが、
本気であれば道は開けると思います。
結局は自分自身が全てです。
自分が何をしたいのかを明確にし、スキルやポートフォリオを充実させ、技術のアップデートを怠らないようにしましょう。
後悔しないように、自分自身を信じて行動してみてください!