MOA美術館「井上涼展 夏休み!BYOBUびじゅチュ館」がアツい!国宝 紅白梅図屏風を観に行こう

[ 最終更新日 11.01.2021 ]

熱海のMOA美術館にて、2019年8月27日まで「井上涼展」が開催中です。これが、ものすごーく、楽しいんです!アツいんです!特にお子さんがいらっしゃる方はぜひ、子どもを連れて遊びに行くといいと思います。現場の様子をレポートします。

MOA美術館とは

MOA美術館は「エムオーエー」美術館と読みます。創立者である岡田茂吉の、Mokichi Okada Associationの略で、静岡県の熱海市に位置する私立美術館です。尾形光琳の「紅白梅図屏風」などの国宝3点、重要文化財65点を含む約3,500点もの作品が所蔵されています。またMOA美術館は高台にあり、入り口から館までは長いエスカレーターを乗り継いで上がって行きます。相模灘に浮かぶ初島や伊豆大島を一望できるのも大きな魅力です。美術館の特徴と、常設の展示物を少しだけご紹介します。

ヘンリー・ムーア 王と王妃

20世紀イギリスを代表する彫刻家ヘンリー・ムーアによる「王と王妃」像が、MOA美術館の本館前に設置されています。ムア広場で2人は仲良く相模湾の大パノラマを望んでいる様子です。


豊臣秀吉 黄金の茶室

壁も床も道具もすべてキンピカ、その名の通り黄金の茶室です。これは豊臣秀吉が天皇にお茶を献上するために作った、金の茶室を復元したお部屋です。黄金の世とも呼ばれていた時代で、お茶道具なのにこんなにも絢爛豪華でした。

レストランAU MIRADOR(オー・ミラドー)

美術館の一角にレストランがあり、フランスの本物のビストロを味わえます。私はステーキセット2,400円+静岡の和紅茶400円+バゲット200円をいただきました。


井上涼とは

さて、ここから企画展「井上涼展 夏休み!BYOBUびじゅチュ館」について説明していきます。

井上涼(いのうえりょう)は1983年生まれ、36歳のアーティストです。イラストを主軸として映像作品や作詞・作曲、歌など様々なパフォーマンスを試作活動をほとんどひとりでされています。

井上涼は現在NHK Eテレで放送中のアニメ「びじゅチューン」でも大活躍中です。これは世界の有名な美術作品を子どもにもわかりやすく、非常にユニークな角度から紹介する番組です。例えばボッティチェリの「ヴィーナス誕生」やモネの「睡蓮」といった名画について、どのような絵なのかをゆるゆるっとしたオリジナルの歌と映像で表現します。番組で取り上げたこれまでの映像作品はアップされているので、ぜひ観てみてください。ヘンテコな歌を聴いていると、不思議と絵画が頭のなかにインプットされていきます・・・!

美術を美術として捉えると、学術的で敷居が高いような気がして難しく考えがちですが、本来的にはそうではなく、まずは理屈抜きで、自由な発想で自由な感情を抱きながら楽しく観てよいのだ、と気づかされます。

国宝・尾形光琳 紅白梅図屏風の解説

江戸時代に活躍した尾形光琳(おがたこうりん)による「紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)」は、国宝の1つ。力強い紅梅・白梅が左右に位置し、中央に黒い水流がどっしり描かれています。水流は末広がりとなり、梅の木の幹は画面上から隠れているこの構図は、尾形光琳の独特の作風です。そして屏風全体には、なんと贅沢にも金箔が貼り付けられており、よく観ると四角い金箔のマス目状の跡が残っています。

この作品からインスピレーションを受け、井上涼が物語を生み出し歌にしました。浮き沈みの多い人生を送っている「梅あゆみ」という架空のアイドルが主人公です(笑)マス目状になった金箔の貼り付け跡を「グラフ」に見立て、アイドル梅あゆみの半生をコミカルに歌っています。

動画・井上涼「紅白梅図屏風グラフ」はこちら

[box05 title=”アイドル梅あゆみの半生まとめ”]梅あゆみは10代の頃に「白梅気取り」で華々しくデビュー。陽のあたるアイドル人生も束の間、すぐに人気に限りが見え、「梅バイバイ」からは売れなくなってしまいました。20代で方向性を転換させ「梅テクノ」で再びヒットを記録。そのまま立て続けに売れます。ここまでが絵画でいうと左半分の白梅人生です。
しかし30代で迷走し始め、全く売れなくなりました。ここは絵画でいうと真ん中の黒い川を示しています。暗黒時代ですね。
やがて40代になって覚悟を決めて開き直り、「ハロー紅梅レディ」で再デビュー。「梅に聞きな」、「梅ドンマイ」は見事にヒット。絵画の右半分、紅梅時代の到来です。[/box05]

井上涼が描いた紅白梅図屏風も展示されています。名画のキャラクターが散りばめられていて、わかるとかなり笑えます。個人的には鬼の形相のオフィーリアがおもしろすぎました。


国宝・野々村仁清 色絵藤花文茶壺の解説

野々村仁清(ののむらにんせい)は、江戸時代前期に活躍した陶器の作家さんです。優美な陶器作品を数多く残していますが、なかでも最高傑作といわれるのがこの「色絵藤花文茶壺(いろえふじはなもんちゃつぼ)」です。

温かみを帯びた白っぽい地の上に、藤の花が見事に咲き誇っています。お花とツルの部分をみると紫のほか赤や金、銀などで鮮やかに彩られていて、葉には一枚一枚葉脈が細かく描かれています。壺全体の形状もきれいな丸みで、下部の茶色でしっかりと安定感を出し、絶妙なバランスを保っています。

そして、井上涼によってこちらの作品も歌になりました。壺が指圧マッサージ師になってしまいました(笑)右下で作者の野々村仁清がロクロを回しているのもシュールです。

動画・井上涼「ツボのツボマッサージ師」はこちら

会場にはアニメ「びじゅチューン」のスタジオのセットで撮影できるコーナーや、アニメーションの下絵なども展示されており、井上涼の世界をたっぷり楽しめます。




会場で探そう!梅あゆみ

美術館の係の方に教えていただき、特別な情報を入手しました。井上涼ご本人が会場の至るところに、梅あゆみのミニフィギュアを10個隠したのだそうです!探してみると、たしかに、ひょっこり、いる・・・!

こんなところにも、いる・・・!

私は5つくらいしか見つけられませんでした。10個全部見つけるのは至難の技と思われますが、ぜひ挑戦してみてください。案外感動します。そして私はミュージアムショップのガチャポンでこのミニフィギュアが当たりました(笑)

以上、MOA美術館と井上涼展のご紹介でした。交通費をかけてでも行く価値はあると思いますので、ぜひみなさんも足を運んでみてくださいね。

「井上涼展 夏休み!BYOBUびじゅチュ館」開催概要

会期 2019年7月20日(土)〜8月27日(火)
会場 MOA美術館
〒413-8511
静岡県熱海市桃山町26-2
アクセス JR熱海駅よりバス約7分
バスターミナル8番乗り場よりMOA美術館行き 終点「MOA美術館」下車すぐ
※駐車場あり(200台まで)
休館日 木曜日(祝休日の場合は開館)、展示替え日(不定期)
開館時間 9:30〜16:30(最終入館16:00)
観覧料金 ・一般 1,600円
・高校生・大学生 1,000円
・シニア(65歳以上) 1,400円 ※年齢を証明できるものを提示
・中学生以下は無料
200円割引になる前売り券はこちらから
お問い合わせ 0557-84-2511

 

Posted by
sholo

下町生まれ下町育ちの会社員。ウェブの企画・編集の仕事をしています。ライブに行くこと、三味線を弾くこと、映画を観ることなどが好き。