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【アート初心者向け】グスタフ・クリムトってどんな人?背景理解のための5つのキーワード

東京都美術館で「クリムト展 ウィーンと日本1900」が開催中です。今年はクリムトの没後100年にあたるので、これを機にクリムトを理解するための5つのキーワードを元に、クリムトの人物像を紹介していきます。展覧会前の予習にもお役立てください。

キーワード1:芸術一家

グスタフ・クリムト(1862年7月14日〜1918年2月6日)は、世紀末のウィーンを代表する画家です。お父さんは金の彫刻師、お母さんはミュージカルのパフォーマー。7人兄弟の2番目に生まれました。男兄弟はグスタフを含めて3人で、弟には画家のエルンスト、彫刻家のゲオルグがいました。芸術学校時代から親友のフランツ・マッチュや弟と一緒に美術の仕事を受注し活躍していました。

キーワード2:黄金様式

「華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせもつ」と称される作風ですが、初期の頃は、自然の物をそのまま忠実に再現しようとする自然主義的な作風でした。その後の「華やかな装飾性」というのが、絵画に金箔を多用した「黄金様式」と呼ばれる時代の作品群を指しています。クリムトの絵画には妖艶な女性がたくさん登場しますが、「ユディトI」に代表されるような、官能的で煌びやかな美しさは他にはない特徴です。

また19世紀後半のヨーロッパで流行していた日本美術の影響を受け、浮世絵などの影響を受けた色鮮やかでどこか日本的な、親しみやすい作品も多くあります。一方で父親や弟、息子の死を経験し、作品に表れるようになった死生観にも注目したいところです。

キーワード3:女性

クリムトの絵画のモデルはほとんどが女性です。クリムトは生涯結婚しなかったものの、女性にはモテまくっていて、何十人もの裸婦モデルの女性と関係を結んだプレイボーイだったようです。非摘出の子どもは少なくとも14人(!)いたといわれています。息子を失った悲しみから描いた色数の少ない赤ちゃんの絵画からは、父親としての一面も感じ取れるのが興味深いところでもあります。ちゃんと愛情を持って接していたんだろうなと察せられます。

キーワード4:エミーリエ・フレーゲ

常に女性に囲まれていたクリムトでしたが、そんななかでも最も愛したといわれる女性がいました。それはクリムトの弟の奥さんの姉で、ブティックを経営するエミーリエ・フレーゲです。経済的に自立した女性は珍しかった時代でした。弟の結婚を機に2人は出会い、文通のやり取りは数十年にもわたりました。クリムトにとってエミーリエは尊敬する存在であり、2人は公私ともにお互いを支え合うよきパートナーでした。有名作品のひとつ「接吻」などの題材になった人物です。

キーワード5:ウィーン分離派

クリムトは当時のウィーンの保守的な芸術に不満を抱いており、ウィーン分離派といわれる団体を結成し、新しい独自のスタイルで芸術活動を展開していました。分離派の展示で最も有名なものが、オーストリアの作曲家ベートーヴェンをテーマにした「ベートーヴェン・フリーズ」です。縦約2m×横約34mもある巨大な壁画作品です。第九交響曲は皆さんもご存知ですね、ジャジャジャジャーン♪のあの曲に着想を得た超大作です。黄金の甲冑を着た騎士が幸福を求めて敵に立ち向かい、天使が歌う楽園に辿り着くまでの旅路が、絵巻物のように展開されています。

しかし、今でこそ黄金様式の時代を代表する傑作といわれていますが、発表した当時は卑猥だの何だの非難轟々だったようで、なんとウィーン国家からも見放されてしまったようです…芸術ってわからないものですね。

クリムトを理解するための5つのキーワード、「芸術一家」「黄金様式」「女性」「エミーリエ・フレーゲ」「ウィーン分離派」を押さえておけば、作品の鑑賞もより深く楽しめるはずです。最後に、クリムトの主な代表作を一覧にしました。多くが現在開催中のクリムト展で観られるので、ぜひチェックしてみてください。展覧会へ行ってみた感想はこちらです。

グスタフ・クリムトの代表作品一覧

作品名 作成年 所蔵
へレーネ・クリムトの肖像 1898年 個人
ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実) 1899年 オーストリア演劇博物館
ユディトI 1901年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
ベートーヴェン・フリーズ 1901-1902年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
エミーリエ・フレーゲの肖像 1902年 ウィーン・ミュージアム
女の三世代 1905年 ローマ近代美術館
接吻 1907/1908年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
ダナエ 1907/1908年 ヴェルトレ画廊
オイゲニア・プリマフェージの肖像 1913/1914年 豊田市美術館
丘の見える庭の風景 1916年 カム・コレクション財団
赤子(ゆりかご) 1917/1918年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

参考資料
クリムト展 ウィーンと日本1900
Artpedia グスタフ・クリムト

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sholo
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下町生まれ下町育ちの会社員。医療系の広告代理店を経て、医療系の人材関連会社でウェブの企画・編集の仕事をしています。ライブに行くこと、三味線を弾くこと、映画を観ることなどが好きです。医療やデザイン、地域に関する話題を中心に、明るく楽しく、わかりやすく書いていきます。