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大林宣彦監督・映画「時をかける少女」のあらすじ・見どころまとめ

筒井康隆の小説を原作とする「時をかける少女」。アニメやドラマなど様々な作品へと度々展開されていますが、やはり元祖といえば原田知世の初主演作となった1983年公開の映画ではないでしょうか。配給収入28億円*1のヒット作です。大林宣彦監督の追悼企画として先日TVでも放送されました。ぜひ観ておきたい作品として改めて、本作の概要・あらすじ・見どころを感想と交えてご紹介します。

*1 一般社団法人日本映画製作者連盟:過去配給収入上位作品 1983年より引用

映画「時をかける少女」概要

原作筒井康隆
監督大林宣彦
脚本剣持亘
製作角川春樹
プロデューサー山田順彦・大林恭子
音楽監督松任谷正隆
製作会社角川春樹事務所
配給東映
公開1983年7月16日
上映時間104分

大林宣彦監督について

大林宣彦監督は1938年広島県尾道市出身の映画監督です。2020年4月10日に82歳で亡くなるまで数々の名作を遺しました。2019年の東京国際映画祭特別功労賞、文化功労者など受賞歴も多数お持ちです。

2016年に肺がんが判明して余命宣告を受け、撮影・編集と並行して抗癌剤治療を続けていました。「海辺の映画館―キネマの玉手箱」が最期の監督作品で、その公開予定日だった4月10日にお亡くなりになりました。本作品は新型コロナウイルス感染拡大の影響で公開延期となっています。

「時をかける少女」は1982年公開の「転校生」、1985年公開の「さびしんぼう」と合わせて、大林監督の「尾道三部作」と呼ばれています。新人アイドルを主役にした映画作りの先駆者でもあります。

主題歌「時をかける少女」について

1983年にこの映画の主題歌としてリリースされた原田知世のシングルです。作詞・作曲は松任谷由実。エンディングで流れる「あなた 私のもとから 突然消えたりしないでね」の歌い出しや、「過去も未来も星座も越えるから 抱きとめて」という歌詞**2は、映画の中の原田知世の切ない気持ちとリンクします。

*2 J-Lyric.net:時をかける少女 歌詞より引用

あらすじ

主人公の芳山和子は、明朗快活でしっかり者の高校1年生。学校のスキー教室に参加した夜、同級生の吾郎ちゃんと深町くんと3人で、ゲレンデから美しい星空を眺める場面から物語は始まります。

ある日、和子が学校の理科室を掃除していたときのこと。割れたフラスコと、そこから溢れ出たラベンダーの香りのする薬品を見つけます。すると和子は気分が悪くなり、その場で倒れてしまい、吾郎ちゃんと深町くんに保健室に運ばれました。その後理科室に戻ると割れたフラスコや薬品は見当たらず、不思議に思いながらもその場を後にします。

ラベンダーの香りを嗅いだ翌日から、和子は奇妙なデジャヴ体験に悩まされるようになりました。昨日経験したことと同じことが、また今日起きるのです。苦悩する和子は、深町くんに心境を打ち明け相談しました。深町くんはタイムトラベルとテレポーテーションが起きているようだと説明し、優しく和子のことを気遣ってくれました。しかし、その時和子は深町くんの手にあるはずの昔の傷跡がないことに気付き違和感を抱きます・・・

主な登場人物

芳山和子原田知世
深町一夫高柳良一
堀川吾郎尾美としのり
福島利男(教師)岸部一徳
立花尚子(教師)根岸季衣
神谷真理子(クラスメイト)津田ゆかり
深町正治(一夫の祖父)上原謙
深町たつ(一夫の祖母)入江たか子

みどころ1:原田知世の初々しさや若い頃の有名俳優

まずはなんと言っても、ヒロイン役の原田知世のかわいらしさには言及せざるを得ません。撮影当時16歳で、まだ無名の新人でした。初々しさ溢れる少女で、恋が何かもあまりよくわかっていないお年頃。恋に悩む様子に、胸がキュンとします。

原田知世の幼馴染み役は尾美としのり、先生役は岸部一徳で、有名俳優の若い頃の演技がまた新鮮に映ります。

ちなみに、作中で深町くんの父親の写真がチラリと映りますが、実はこの方、音楽監督の松任谷正隆さんです。これは1回見ただけでは気付けないかもしれません。

みどころ2:名言に学ぶ、時間の捉え方

人は時間を「流れる」「過ぎる」などと表現し、かつての記憶は徐々に薄れていきます。思い出に昇華させて取っておきたいと思う感情を抱いたとしても、時の流れとは残酷なものです。

しかし物語の終盤、深町くんは和子に「過ぎていくもんじゃない。時間はやってくるものなんだ」と伝えます。今の起点として過去に目を向ければ、時間はたしかに過ぎるものとしか捉えられません。一方で、これからやってくる時間をどう過ごすか、どう生きるか、未来に目を向けてみることで時間の捉え方はプラスに変えることができるではないでしょうか。

タイムトラベルを題材にした映像作品は数多くありますが、タイムトラベルものの原点とも言うべき本作。時空を越える際の当時の編集・撮影技術にもご注目ください。

みどころ3:深町くんの祖父母の温かいまなざし

深町くんは祖父母と3人で暮らしています。おじいさん・おばあさんの登場回数は少なくあまり多くを語らないので、初めはあまり意識せずに観てしまうかと思います。でも、2人が孫に向ける温かいまなざしにぜひ注目してみてください。孫に深い愛情をずっと注いできたことが感じ取れます。

前述の時間の捉え方についても、深町くんの祖父母にとってもこれまでの時間を考えると、また感慨深いものがあります。最後に孫へ思いを馳せるシーンがあるのですが、おじいさん・おばあさんにとっての時間は、きっとこの瞬間まで過ぎもせず、流れもしなかったのでしょう。長い年月を経てようやく、「時間はやってくるもの」と少しずつ捉えられるようになったのかもしれません。

「時をかける少女」は繰り返し観たくなる名作

GWに入り少し「時間」に余裕ができた方は、ぜひ80年代の「時をかける少女」を観てみてください。初めての方も、一度観たことがある方にとっても、新しい発見がきっとあるはずです。

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sholo
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下町生まれ下町育ちの会社員。医療系の広告代理店を経て、医療系の人材関連会社でウェブの企画・編集の仕事をしています。ライブに行くこと、三味線を弾くこと、映画を観ることなどが好きです。医療やデザイン、地域に関する話題を中心に、明るく楽しく、わかりやすく書いていきます。