アート

愛知・豊田市美術館でも開催「クリムト展 ウィーンと日本1900」ユディトIなどの見どころ紹介と感想

上野の東京都美術館で開催されたクリムト展。クリムト没後100年記念とあって大変見応えのある展覧会でした。今回はアート初心者にもわかりやすく、クリムト展の見どころを紹介していきます。

東京都美術館へのアクセスと所要時間

JR上野駅から上野公園方面へ向かいます。様々な美術館・博物館の集まる上野公園ですが、東京都美術館はずっと奥のほうに位置しています。JR上野駅から7分ほど歩き、上野動物園の手前を右折すると、落ち着いた雰囲気の建物が見えます。中央のエスカレーターを下って地下1階が入り口です。

開館時間は午前9:30〜午後5:30までで、終わり時間が早いので注意が必要です。ただし金曜日と7/6(土)は午後8:00まで開催しています。ミュージアムショップも含めその時間内ですので、所要時間は1時間だと足りないです。正味2時間くらい確保しておくとよいと思います。

グスタフ・クリムトの基礎知識

グスタフ・クリムトは世界中から愛されている、19世紀末のウィーンを代表する画家です。今回は没後100年を迎えたクリムトの作品をまとめて鑑賞できる、大規模な展覧会となっています。

クリムトの作風は「華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせもつ」と称され、金箔を貼った美しい女性の絵画が有名です。詳しい作風や人物像などについてはこちらの記事にわかりやすくまとめているので、背景を知りたい方は併せてご一読ください。

有名作品1:ユディトI

看板にも使われているこちらの作品は、クリムトが本物の金箔を使った、黄金様式の最初の作品とされています。恍惚とした表情で胸を露わにしている女性には、一度見たら忘れられない危険で怪しげな雰囲気があります。

モチーフになっているのは、旧約聖書の外典(正典ではない宗教上の文書)の『ユディト記』という物語に出てくる、美しい未亡人ユディトです。ユディトは祖国を救うために、敵の将軍ホロフェルネスの首を切り落とします。女性の手元を見ると将軍の首が描かれています。

どんな困難にも屈しない女性の強さを誇示する一方で、女性がもたらす危険な誘惑に対する警告として解釈される場合もあるとのこと。たしかにこの表情、匂い立つような官能性・・・盲目的に夢中になってしまうほど抵抗し難い魅力を放つ女性の姿に、恐ろしくも惹きつけられる作品でした。

有名作品2:へレーネ・クリムトの肖像

こちらはきれいなボブヘアーをした少女の横顔を描いた作品です。へレーネ・クリムトは、クリムトの弟・エルンストの娘さんです。この肖像画が描かれたのは6歳頃とのこと。それにしては大人びすぎていますが。

乳白色の背景に白いブラウスが上品で、丁寧にとかされた焦げ茶色のおかっぱ頭と大きな瞳が際立ち、とても美しい作品です。

有名作品3:17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像

エミーリエ・フレーゲは、クリムトの弟の奥さんのお姉さんで、当時では珍しい自立した起業家でした。ウィーンでブティックを経営していて、クリムトが尊敬する存在であり、最も愛したといわれる女性です。

クリムト自らデザインしたという額縁には、桜など日本らしい花々が所々にあしらわれています。清楚で奥ゆかしげな女性に、日本的な美しさも備わった素敵な作品でした。

有名作品4:女の三世代

こちらは日本初来日の作品です。小さな女の赤ちゃんを抱く、神々しい母親の姿が真ん中に位置し、左には背の丸まった老婆の姿が。母子は春の花に囲まれて活き活きと明るく描かれている一方、老婆のほうは暗くて老いた身体を隠すような佇まいです。この世に生を受けて無邪気に過ごす幼少期、華々しい若年期を迎え、老年期から死へ向かっていく女性の姿に、生命の円環を表現しています。

縦横約170cmの油彩画で、クリムト作品の中でも最大級のサイズです。背景の銀のドットなどには和風な雰囲気も感じられます。

有名作品5:ベートーヴェン・フリーズ

オーストリアの作曲家ベートーヴェンをテーマにした壁画作品です。縦約2m×横約34mとかなり巨大!第九交響曲に着想を得た超大作、黄金様式の時代を代表する傑作です。

黄金の甲冑を着た騎士が幸福を求めて敵に立ち向かい、天使が歌う楽園に辿り着くまでの旅路が絵巻物のように展開されています。展示室では原寸大の複製を通して、当時の迫力が感じられる構造になっています。

その他の有名作品

これら以外で展覧会で観られる有名作品をいくつかまとめてご紹介します。

ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)

ほぼ等身大の裸の女性が手鏡をこちらに向けている作品。鏡は真実の象徴とされています。上下には「大衆に迎合しない芸術こそが真の芸術である」という意味の詩が書かれています。反骨精神たっぷり!ウィーン分離派としての強いメッセージが込められた、前衛的でパンチの効いた作品です。

赤子(ゆりかご)

派手な色とりどりのお洋服が山積みになり、そのてっぺんから赤ちゃんが顔を出している作品。色彩の豊かさは日本の着物に着想を得たようです。

オイゲニア・プリマファージの肖像

黄色の背景に赤紫を基調とした花柄のドレスを纏う女性は、お金持ちの銀行家の娘さんがモデルです。右上には極楽鳥風の鳥がいます。こちらも色鮮やかで後期のクリムトらしい作品です。このモデルさん、一昔前のベッキーに似ているような…

丘の見える庭の風景

花々の輪郭線を先に縁取りしてから描いています。ゴッホの影響を受けたのではないかと解説には書かれてありました。

クリムトに親しみを感じていただけたでしょうか?ちなみに国立新美術館のほうでは「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」という、ウィーンの世紀末に活躍した芸術家たちの展覧会を開催中で、こちらにもクリムト作品がいくつか展示されています。私が先日観てきたレポートもよかったら読んでみてくださいね。

「クリムト展 ウィーンと日本1900」開催概要

東京展

会期:2019年4月23日〜7月10日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
開室時間:9:30〜17:30(金〜20:00) ※入室は閉室の 30 分前まで
休室日:5月7日、20日、27日、6月3日、17日、7月1日
料金:一般 1600円 / 大学生・専門学校生 1300円 / 高校生800円 / 65歳以上 1000円 / 中学生以下無料

愛知展

会期:2019年7月23日〜10月14日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1

※この記事は2019年7月5日時点の情報です


参考資料
クリムト展 ウィーンと日本1900
美術展ナビ「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」
美術手帖「過去最大のクリムト展がついに開幕。東京都美術館の「クリムト展 ウィーンと日本 1900」でクリムトの人生を見る」

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下町生まれ下町育ちの会社員。医療系の広告代理店を経て、医療系の人材関連会社でウェブの企画・編集の仕事をしています。ライブに行くこと、三味線を弾くこと、映画を観ることなどが好きです。医療やデザイン、地域に関する話題を中心に、明るく楽しく、わかりやすく書いていきます。