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「豊島」の特徴とアート作品・観光スポット完全ガイド|瀬戸内国際芸術祭2019

豊島美術館をはじめ、現代アートで注目を集める瀬戸内海の「豊島」。瀬戸内国際芸術祭2019が開催中ということで、先日アート作品をたくさん観てきました!私が実際に行ってきた家浦港周辺と甲生(こう)エリアを中心に、豊島の見どころをご紹介します。

豊島の特徴

豊島は面積約14.5km2、人口約800人。イチゴやオリーブ、みかん、レモン、海苔、棚田のお米などの生産が盛んです。岡山県側からは宇野港、香川県側からは高松港からフェリーでアクセスできます。

1970年代から80年代にかけて、産業廃棄物の不法投棄事件が起きていました。悪質な業者が大量のゴミを過疎の島に押し付けたのです。「ゴミの島」と呼ばれ、豊島と名のつく製品は販売することすら難しい時期もありました。実態を把握していたのに責任を否定した行政との闘いも経て、その後ようやく廃棄物の処理施設が稼働。現在も再建が進められています。

2010年の豊島美術館の建設と棚田の復元を皮切りに、アートの島のひとつとしても活気をみせるようになりました。ぜひこういった負の歴史を知ったうえで作品を鑑賞していただければと思います。

アート作品が鑑賞できるエリアは、
(1)フェリーの発着する家浦港周辺エリア
(2)硯エリア
(3)唐櫃岡エリア
(4)甲生エリア
(5)フェリーの発着する唐櫃港周辺エリア
の大きく5つあります。それぞれのエリアごとに観られるアート作品をご紹介します。

なお、休島日は火曜日で、基本的にすべての美術館が休館となります。不定期の施設もありますので、事前に開館カレンダーをチェックしましょう。

家浦港周辺エリア

垣山光司 豊島愛ランドスケープ

家浦港のすぐ傍に位置するこちらの作品は、椅子とテーブルが海の方を向いて組まれており、隣接する食堂「豊島鮮魚」のお弁当を食べながら海を眺められるという作品です。垣内光司(かきうちこうじ)の設計した屋外作品で、2019年の新作です。直射日光で作品が熱くなってしまうため残念ながら夏会期は作品に登れませんが、下の長椅子に腰掛けることが可能です。私が行ったときは豊島鮮魚は定休日だったので、家浦港すぐのお土産屋さんで入手した冷凍みかんを食しました。ゴミ箱は基本的に設置されていないので、出たゴミはしっかり持ち帰りましょう。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 火曜日
※火曜日が祝日の場合は営業、翌日休館
※豊島鮮魚は火〜金曜日定休
鑑賞料金 無料
チケット 不要
公式情報 瀬戸内国際芸術祭2019:豊島愛ランドスケープ
豊島観光ナビ:豊島鮮魚

永山祐子・横尾忠則 豊島横尾館

こちらは「生と死」をテーマに活動を続けるアーティスト・横尾忠則の作品を集めた美術館です。建築家の永山祐子が古民家を改修して設計しました。大きな煙突のような柱が特徴的で、中ではどうなっているかというと、滝のインスタレーションが空を見上げるような形で鑑賞できる場になっています。建物全体は母屋、倉、納屋から構成され、平面作品11点が展示されています。原色の赤や青で彩られた庭にも独特の世界観が広がり、お手洗いまでギラギラに(文字通り)個性を放っています。

開館時間 3月〜10月 10:00〜17:00(最終入館16:30)
11月〜2月 10:00〜16:00(最終入館15:30)
※芸術祭夏会期の期間は9:00開館
休館日 3月〜10月 火曜日
11月〜2月 火〜木曜日
※祝日の場合は営業、翌日休館。月曜日が祝日の場合は火曜日開館、翌水曜日休館
鑑賞料金 510円 ※15歳以下は無料
チケット 当日現地にて購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:豊島横尾館

大竹伸朗 針工場

コラージュを多用した作風で有名なアーティスト・大竹伸朗の作品です。メリヤス針の製造工場跡地に設立されたため、針工場という名前の作品になっています。愛媛県にある宇和島の造船所で、一度も使われずに約30年放置されていた漁船の木型が、ここで新たな作品として生まれ変わりました。瀬戸芸がテーマとして掲げる「海の復権」にぴったりの作品ですね。全長17m、重さ5tと大きな船なので、宇和島から運ぶのもとても大変だったようです。

また今年の会期中には船の断面部の作品も特別に展示されています。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 会期中は原則火曜日、会期外は休館
鑑賞料金 510円 ※15歳以下は無料
チケット 当日現地で購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:針工場

硯エリア

皆川明/緒方慎一郎 ウミトタ

「海と棚田」から「ウミトタ」と名付けられたこちらの作品は、築45年の日本家屋を改装した一棟貸しの宿泊施設です。施設の南側には棚田、北側には瀬戸内海を臨むテラスと浴室があり、豊島の素朴な自然を感じながら滞在できます。ファッションデザイナーの皆川明がディレクションを、デザイナーの緒方慎一郎が設計を担当しました。

開館時間 土曜日~月曜日 12:00~16:00
その他の曜日 10:00~16:00
休館日 火曜日
※火曜日が祝日の場合は営業、翌日休館
鑑賞料金 300円
チケット 当日現地にて購入
公式情報 ウミトタ

アンリ・サラ 豊島シーウォールハウス

廃屋になっていた海沿いの古い家屋を再生させ、ドラムやオルゴールなどの楽器、サックスや尺八演奏を用いた映像作品・サウンド作品が展示されています。音の表現に浸りながら、家屋全体から「異なる世界の出会い」を体感できるアート作品です。ゆったりのんびり鑑賞しましょう。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 原則火曜日、会期外は休館
鑑賞料金 510円 ※15歳以下は無料
チケット 当日にて購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:豊島シーウォールハウス

井筒耕平/会田大也 コロガル公園in豊島((c)山口情報芸術センター)

旧孤児院に建てられた、すり鉢状の地形をした仮設の公園で、2019年の新作です。通常のアート作品は魅せるアーティストがいて、魅せられる鑑賞者がいますが、こちらはアーティストが仕掛け、鑑賞者が考え、両者で変化をし続けるというのがコンセプトになっています。どんな遊びをするのかは「こどもあそびばミーティング」などを通じて、子どもたち自身が考えます。大人向けのアート作品が多いなか、子どもならではの自由な発想が生かされそうな作品です。井筒耕平とタッグを組む相田大也はワークショップデザイナーです。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 原則火曜日、会期外は休館
鑑賞料金 510円 ※15歳以下は無料
チケット 当日にて購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:豊島シーウォールハウス

森万里子 トムナフーリ

竹林に囲まれた池の中央に立つ、高さ3mの美しいガラスのモニュメントは、なんとスーパーカミオカンデと接続されていて、星の死の際に発せられるニュートリノのデータを受信して発光します。作品名の「トムナフーリ」とは古代ケルトにおける霊魂転生の場のことで、この場所で魂は次の転生までの長い時を過ごすと考えられているそうです。生と死を象徴する、宇宙との繋がりを感じられる作品です。
ただし会期中のみの開館で、どうやら毎週土曜日の19:30からのみ、かつ完全予約制で各回15名までの制限もあって観る難易度も5つ星でしょう・・・

開館時間 不定期
休館日 完全予約制、会期外は休館、雨天中止
鑑賞料金 500円
※島民と15歳以下は無料、パスポートによる入館割引なし
チケット 夏会期は完売、夏会期終了後より秋会期の申込受付開始予定
公式情報 ベネッセアートサイト直島:トムナフーリ

唐櫃岡エリア

西沢立衛/内藤礼 豊島美術館

2010年に建設された豊島美術館は、豊島がアートで活気を取り戻すきっかけとなりました。建築家の西沢立衛(りゅうえ)とアーティストの内藤礼によって、瀬戸内海を望む小高い丘の上に設立。展示作品はただひとつ、建物と空間そのものを作品化した「母型」のみ。外観は水滴のような形状で、高さ4.5mの建物内には柱が1本もないコンクリート構造をしています。周囲には美術館建設を契機に再生した棚田が広がり、作品内部では床のいたるところから泉が湧いています。
新建築.netの動画で様子がわかるので、興味のある方は01:30あたりからご覧ください。

開館時間 3月〜10月 10:00〜17:00(最終入館16:30)
11月〜2月 10:00〜16:00(最終入館15:30)
休館日 3月〜10月は原則火曜日
11月〜2月は原則火〜木曜日
※祝日の場合は開館、翌日休館、月曜日が祝日の場合は火曜日開館で翌水曜日が休館
鑑賞料金 1,540円
※15歳以下は無料、パスポートによる入館割引なし
チケット 会期中はオンライン予約制(当日整理券も配布されるが入館できる保証はないので、予約しましょう。しかも埋まるの早いです。私は予約できず行けませんでした・・・)
公式情報 ベネッセアートサイト直島:豊島美術館

スマイルズ 檸檬ホテル

瀬戸芸2019の作品ではありませんが、ついでにご紹介です。檸檬ホテルは「2人で」アートを鑑賞すると距離が縮まるという体験型の作品です。鑑賞者は2人1組になり、両者のほっぺたの間に檸檬を挟む行為「ほほ檸檬」をして、映えな写真を撮影してインスタにUPできます。インスタで「#ほほ檸檬しなさい」で検索してみてください。そんなわけで絶対に1人で行くべき場所ではありませんね・・・
宿泊施設でもあり、1日1組だけ泊まれて、400坪のレモン畑を占有できます。建築はセブンルールにも出ていた岡野道子です。築90年の古民家を再構築しました。

開館時間 12:00〜15:00(最終入館14:30)
休館日 3月〜11月 火曜日・水曜日
※月・火が祝日の場合には営業し、木曜が休館
12月〜2月 火〜木曜日
鑑賞料金 500円(宿泊は別途)
※パスポートでの鑑賞不可
チケット 完全予約制。宿泊については毎月1日に2ヵ月先までの受付開始
公式情報 檸檬ホテル

青木野枝 空の粒子/唐櫃

鉄を使った空間表現が特徴的な彫刻家、青木野枝(のえ)による屋外展示作品です。空に粒子が舞うのをイメージして円形の彫刻をつなぎ合わせ、貯水タンクを囲んで設置されています。ベンチなども用意され、人々の交流の場としても活き、景観にも馴染む作品です。

開館時間 屋外展示作品のため特になし
休館日 無休
鑑賞料金 無料
チケット 不要
公式情報 瀬戸内国際芸術祭2019:空の粒子/唐櫃

安部良 島キッチン

広島出身の建築家・安部良(あべりょう)が古民家を改修した、大きな屋根の飲食店です。香川県産の旬の食材を使った「島キッチンセット」1,500円や、豊島の旬の果物を使った「季節限定ドリンク」500円(いずれも税抜き)など、気になるメニューばかり。営業日は不定期で整理券制となります。ウェブ予約ができるようなので、予約しておくとよいでしょう。

開館時間 11:00〜16:00(食事 Lo 14:00/ドリンク Lo 15:30)
※10:30より整理券配布
休館日 会期中は原則火曜日
会期外は原則火〜金曜日
鑑賞料金 無料(飲食代は別途)
チケット 不要、オンライン予約も可能
公式情報 島キッチン

ピピロッティ・リスト あなたの最初の色(私の頭の中の解 -私の胃の中の溶液)

島キッチンと同じ敷地内にある蔵では、スイス出身のビデオ・アーティスト、ピピロッティ・リストによる映像作品が展示されています。建物の天井裏に円形のスクリーンが設置され、チューリップや風景などをカラフルな映像として投影されています。このカラフルで幸福感溢れる世界観はピピロッティらしい特徴です。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 火曜日 ※祝日の場合は開館、翌日休館 。月曜日が祝日の場合は、火曜日開館、翌水曜日休館
会期外は休館
鑑賞料金 300円
チケット 当日現地にて購入
公式情報 瀬戸内国際芸術祭2019:あなたの最初の色(私の頭の中の解-私の胃の中の溶液)

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー ストーム・ハウス

外観は完全に民家です。ストームは英語で嵐のことですが、その名の通り、嵐が来て通り過ぎるまでの約10分間の稲光や雷鳴が体験できるというユニークな施設です。恐ろしい体験を終え穏やかな外の空気を吸うと、日常のありがたみを一層感じることができます。日本的な作品ですが、実はカナダとドイツのアーティストによる作品というのも興味深いところです。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 会期中は原則火曜日、会期外は休館
鑑賞料金 300円、15歳以下は無料
チケット 当日現地にて購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:ストーム・ハウス

クリスチャン・ボルタンスキー ささやきの森

檀山(だんざん)への道を登っていくと、中腹の森林の中で400個もの風鈴が音を奏でています。風鈴の短冊には、これまでにここを訪れた誰かの大切な人の名前が記されています。生きている方も、亡くなられた方もいらっしゃるかもしれません。人の存在の強さと儚さを表現しているといいます。登録料はかかりますが、新たに自分の大切な人の名前を残し、作品に参加することも可能です。
作者クリスチャン・ボルタンスキーが作品にかけた想いも心を打つので、よかったらアーティストトークのレポートも見てみてください。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 原則火曜日、会期外は休館
鑑賞料金 無料
短冊への登録料は5,000円(登録は心臓音のアーカイブにて受付)
チケット 不要
公式情報 ベネッセアートサイト直島:ささやきの森

甲生エリア

スプツニ子! 豊島八百万ラボ

スプツニ子!はMIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業した理系アーティストで、女性の生理を疑似体感できる「生理マシーン」などはネットでも話題になりました。
海辺にある民家を改修してできた豊島八百万(やおよろず)ラボは、先端科学とアートと神話のコラボレーション作品です。豊島の名前の由来ともいわれる、古事記に登場する女神・豊玉姫(とよたまひめ)に着想を得た、リケジョが主人公の映像作品と、その世界観を表現した研究室の展示を観ることができます。

建物は神社をイメージして作られていて、恋みくじや絵馬の販売もされています。おみくじを引いてみたら、なかなか刺さる恋の格言が書かれていました。

開館時間 9:30〜16:30
休館日 原則火曜日、会期外は休館
鑑賞料金 510円 ※15歳以下は無料
チケット 当日現地にて購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:豊島八百万ラボ

唐櫃港周辺エリア

イオベット&ポンズ 勝者はいない─マルチ・バスケットボール

豊島の形をしたボードに、バスケットゴールが6つくっついています。住宅街の中にあり、地元の方や来場者たちがバスケットボールを楽しめる場として、スペインのアーティストが作りました。思い思いのルールで楽しく遊べます。

開館時間 屋外展示作品のため特になし
休館日 無休
鑑賞料金 無料
チケット 不要
公式情報 瀬戸内国際芸術祭2019:勝者はいない─マルチ・バスケットボール

クリスチャン・ボルタンスキー 心臓音のアーカイブ

フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーは、人が生きた証として心臓音を集めるプロジェクトを2008年から展開しています。彼がこれまで世界中から集めた心臓音をリスニングルームで聴けるという小さな美術館です。ささやきの森も参加型でしたが、こちらの作品も自分の心臓音をレコーディングルームで録音することができます。これも生と死の新しい表現方法ですね。

開館時間 10:00〜17:00(最終入館16:30)
※夏会期中は9:00開館
休館日 原則火曜日
鑑賞料金 510円
チケット 当日現地にて購入
公式情報 ベネッセアートサイト直島:心臓音のアーカイブ

豊島の人や歴史に思いを馳せて現代アートを楽しもう

以上、「豊島」の特徴とアート・観光スポット完全ガイドでした。生と死、愛、食などテーマ豊かな作品が堪能できる素敵な島です。とても1日では回り切れないため、旅行をされる方は事前に計画を立ててみてくださいね。

参考資料
瀬戸内国際芸術祭2019:豊島
https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/teshima/
withnews:「ゴミの島」とは言わせない 権力と闘った住民が語る、成功の秘密, 2018/7/5

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sholo
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下町生まれ下町育ちの会社員。医療系の広告代理店を経て、医療系の人材関連会社でウェブの企画・編集の仕事をしています。ライブに行くこと、三味線を弾くこと、映画を観ることなどが好きです。医療やデザイン、地域に関する話題を中心に、明るく楽しく、わかりやすく書いていきます。