日常

頭をスッキリさせるにはヤカンを磨こう!

ある日ヤカンを磨いた。磨いていくことに普段ではあまり考えることのないことを考えることができた。この記事はそのときのことを記録したものである!

いつも見ているヤカン。

家にあるヤカン。結婚したとき妻が持ってきたものだ。そういえばそのときから外側は汚れていた!やかんで湯を沸かすということをほとんどしてこなかった自分としては、やかんは毎日火にかけているとこういう状態になるものなのかと思っていた。結婚してから毎日のように沸騰する度にぴーと断末魔の叫びが如く泣き散らす。そんな日々を過ごし2年が経った。

そんなある日、キッチンを掃除しているとその汚れたヤカンが目に留まった。いつもならその汚れをあたかも元からの装飾のように見ていたわけなのだが、その日はなぜかその周りの汚れを無性にとりたくなったのだ。と思ったと同時にそれを恐らくは新品のピカピカからずっと使ってきた妻は今の状態に対して何も感じないのだろうかと疑問が湧いたが、聴いたところで「ふふ」と笑って終わりだと思ったので聞くのをやめた。キッチン全般の掃除を終えたところでヤカンに取り掛かることにした。

ヤカンを磨きにかかる。

まず見た感じ擦っても取れないのは明確だった。焦げたうすい茶色が何度も重ね合わさり作られ月日の経過を感じられ見様によっては綺麗なグラデーションになっているところもある。濃いところは焦げ茶だった。まさに絵の具である〝焦げ〟茶である。そうかこれがリアルな焦げ茶なんどなと感心していた。さてどうしたものかと考えたが、やはりここでネットの登場だ。グーグル先生に「ヤカン 汚れ とる」と聞いてみた。すると上位何件かは同じ取り方を紹介していた。重曹を使うらしい。幸運にも自分が一人暮らしていたころに買った重曹が大量に残っていたことを思い出しそれを使うことにした。

まずヤカンを濡らし、重曹をつけるとのことだ。そして30分待ってから手で汚れを触るとめくれるというようなことが書いてあった。それは面白そうだとその光景を頭に浮かべながらしワクワクしてきた。頭の中ではつるん!と焦げが剥がれ落ちていく様がリピートされていた。早くその光景をみようと思い作業に取り掛かることにした。

まずは重曹をヤカンの周りにつけるということだった。その為には重曹は粉なので水をつけないとつかないため、水をつけるが水滴になって落ちるか水滴がところどころつく感じである。普通のヤカンは周りを熱し続け煤か何かが付着し続けると水を弾く効果がでるのだろうか?仕方がないので重曹に少し水を加えジャリジャリになった状態にし、周りにつけていった。こんなのでいいのかなぁと疑問を抱きつつ、他のところを掃除しながら30分待った。いよいよツルンをするぞ!

まったく取れない。

まぁ、見た感じまったく焦げが浮いてるようには見えなかったんだけど。仕方がないのでスポンジで擦ってみたけど、スポンジに焦げの色がつくだけでまったくとれなかったのだ。それほどこの焦げたちは何重にも重ねられたいわば湯を沸かした歴史があるのだ。

あの汚れを落とす消しスポンジ(洗剤いらずのスポンジありますよね?千切ってつかうあれ。使ったのはカットされてましたけど、ゲキ落ちくんだったけ?)につけてゴシゴシ擦った。これも全然とれないんだ。ただ擦り続けていると焦げ茶が茶になってきた!これは取れてるのか。そもそも重曹のお陰というよりこのスポンジのお陰なんじゃないかと思いながらも擦った。ただこれは単なる力技のような気がして、今度は重曹を浸した熱湯にヤカンを丸ごと浸して待ってから再度チャレンジすることにした。

磨くことへの執念

キッチン用の桶に熱湯を入れるには鍋で5回沸かしては入れを繰り返しなんとか満杯になった。そこに重曹を入れるとシュワーと炭酸のようになり溶けていった。ヤカンを浸し待った。今度は熱湯ということもあり期待感があった。焦げが熱さでなんとかなり、そこに重曹が入り込み焦げを浮かすという素人の憶測。ヤカンも熱湯の中にいるのでかなり熱くなってきた。僕は暑い。

だいたい30分くらいたってからヤカンを引き上げて焦げを手で触ってみた。

全然とれないよ。。。

仕方がないので消しゴムスポンジで力任せに擦りまくった。するとさっきよりは焦げが取れるではないか!でも全然楽じゃない。擦りに擦っているとヤカンの本来の銀色の綺麗な輝きがところどころ出てきた。これは綺麗になっている!目に見えて取れてきたのがわかり擦る速度は上がっていった。今僕はヤカンを綺麗にすることだけに集中している。綺麗にしなくてはいけないんだ。という自分が自分に与えた使命感を胸に抱えていた。額からは汗が流れていた。

次第に擦るシャシャ、シャシャシャという音が心地良いリズムに聞こえてきた(そのときはそう思えたのだが、実際は嫌な音だった気がする。黒板を爪でひっかく音まではいかないが)。シャシャシャ、シャシャシャ。取れそうで取れない頑固な箇所があったり、あっさり取れたり、焦げも様々だ。同じ火力で同じ時間満遍なく熱せられてるはずなのに。シャシャシャ、シャシャシャ。もしかしたら熱する前に何かが付着していたのかもしれない。シャシャシャ。焦げたヤカンを輝かせるにはこんなにも磨かなくてはいけない。擦っては擦る。シャシャシャ。この積み重ねがヤカンを輝かせる。シャシャシャ。これって人生においても同じなのでは。自分を磨くということはヤカンの汚れを落とすことと同じ。何度も何度も試行錯誤。輝くことはそう簡単ではない。けれど磨き続ければきっと輝く。そんな考えが頭を巡り身震いした。何とも言えない高揚感も感じながら、磨き始めた最初とは違う自分がそこにはいた。まさかヤカンを磨くことで人生を悟るとは思いもしなかった。磨く前と磨いた後の自分は全く変わっていた。ヤカンに人生を教わったのだ。

ヤカン自体は完全に綺麗にはならなかったが、磨く前と比べると見違えた。それも人生と同じなのではないか。磨いても磨いても、磨き足りないところが出てくる。突き詰めることは終わらない。

まとめると

もし悩んだり、思い詰めることがあったらヤカンを磨いてみて欲しい。きっとあなたなりの発見があるはずだ。頭はスッキリし、気持ちよく物事に向き合えるだろう。しかし時間が経過していくうちに効果は切れる。そうしたらまた磨けばいい。ヤカンでなくても風呂の床でもいいし、シンクでもいいし、トイレでもいい。「何かを綺麗にする」という行為は心をも綺麗にしてくれる。

ヤカンを磨いた後、手がカサカサになったしまったのでその後のケアはキチンとしましょう!

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pono
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東京23区の西側生まれで個人デザイン事務所・医療系広告代理店・PR代理店を経て雑誌関連の広告会社にデザイナーとして勤務しています。結構な飽き性だがハマると抜け出せない。それがデザイン。そして人見知り。これは個性。どうでもいい記事を書きます。